あたしは“ユーゴスラビア”のこと、好きだし尊敬してる。あたしの“望み”はあの子が叶えてくれたもの。
でも、少し……嫌、なのは、秘密にしてもいいかしら。
あの日、ユーゴスラビアが姉さま達を連れ出して故郷に戻ったときから……。ええ、確かに、その時からだったはずなの。
あたしの“望み”が叶いだしたのは。
姉さまはずっと誰にも心を開いたりしなかった。きっと姉さまは“知らなかった”の。じゃなきゃ、そうじゃなきゃ、あたしはあたしは。あたしは生きた意味すら、消える。
……言い過ぎた?あたしは昔の姉さまを見たことないけど、知らないけど。あたしが知ってる限りでは、誰にも心なんて開いてなかった。
でもね、ユーゴスラビアは、こじ開けてくれた!優しい姉さまの顔、見れてあたしとっても嬉しかった。これは、嘘なんかじゃないわ。
でも、でも。わがままをいうとね。
姉さまが、最初に心を開くのは、あたしがよかったなぁ
肌寒くなってきた某日、今日は秋晴れ。
そんな日に、トントン、と、誰かがあたしの部屋のドアを叩く。
「は〜い、誰〜?」
「いきなり連絡もなくごめんね、私だよ」
ああ、ユーゴスラビアか。
うーん、昨日は暮夜まで、あんなことを考えていたからだろうか?だったら、できれば姉さまに来て欲しかった……、けど姉さまが来るわけないからなぁ。
「別にいいわよ、それで?何かあって来たんでしょ?手伝いとか?」
「うーん……ある意味“手伝い”、かな?」
「え?それってどういう____、」
「モンテネグロ君が好きそうなお店を見つけたんだ、一緒に行かない?」
「_______ッえ?」
いや、ユーゴスラビアのこと、好きだよ?好きだし尊敬してるけど……でも……!!
ああ、嫌だなんて言えるはずない!!!!傷つけてしまう!!!!!!
「モンテネグロ君が好きなのを選んでいいよ、勿論私が払うから」
「……じゃあ、ヴァニリッツァで……」
「私はプルーンチョコにしようかな」
_______どうしてこうなった!?!??!
どうして私はユーゴスラビアとカフェに来てるの!???!??!??!?
おかしい、絶対おかしい!!!!!!
……はあ、もう来てしまったからには全部美味しく頂いてやるんだから!!!!
「結構食べたわ……」
「……お菓子2皿しか食べてないけど?」
「それが普通でしょうがっ」
はあ、はぁ……食い尽くせなかった……。
あたし、自分が少食なの忘れてた……。
もうダメだ食べれない!お腹がいっぱいでよく頭が回らない。
そういえば、どうして今、あたしはこうなっているのか?
どうして、ユーゴスラビアは、あたしをこんなのに誘ったのか。
ただ仲良くなりたかっただけ?
いや、他にも何かあるはず
でもなんでわざわざ誘って……
わからない、どうして_________。
そんなことを思いながら帰路に就く。
「モンテネグロ君、今日はありがとう」
「別に、お菓子美味しかったし……」
「今日誘ったのは、少し話があって」
「……ああやっぱり、何の話?」
「単刀直入に言うと____」
「モンテネグロ君って、セルビア君の事好きだよね?」
「……っえ?」
……何?それだけを話すために?
いやそれよりもどうしてバレて……
「あははっ!当たりみたいだね、よかった」
「はっえっそ、それだけを話す為に?ていうかそ、それが貴女となんの関係が」
「とってもあるよ!家族なんだから」
“家族”
「……でもそれを聞いてどうするつもりなの?」
「伝えたいことがあって、ただそれだけ」
伝えたいこと?
「セルビア君は、モンテネグロ君の事、大切に思ってるみたいなんだ」
わけがわからない。
「どうしてそんなことを言うの?あたしにそれを伝えてどうするつもり?」
「だって、君気づいてなかったみたいだから。家族として見過ごせないでしょ?」
少しの沈黙。あたしはどうしたらいいか分からなかった。でももし、もし姉さまが本当に。“ユーゴ”の言う通り、あたしのことを大切に思ってくれてるのならば____。
「私、モンテネグロ君のこと愛してるよ」
「家族で、姉妹である皆を愛してる」
あたしは更に訳がわからなくなった。どうしてそれを言ったのか。なんでなのか。“ユーゴ”はあたしに何をして欲しいの?
「だから、君に幸せになって欲しい」
「困ったら、私に言って欲しいな。君の笑顔は一番星だから」
____あたしの身体が微睡む。
「……ありがとう、“ユーゴ”」
「……!大丈夫だよ、全く礼には及ばない。あっ、それとさ」
「初めて、『ユーゴ』って呼んでくれたね?」
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